村史で見るあの日の十月
新聞資料編より
はがき集
〔琉新 明33・10・23・火〕
〈前略〉
△中城間切役場は昔時護佐丸公の城趾とて城壁いかめしく随て門構へも余程堅固に築かれし様見受けられ候処、何分数百年も経過せる事なれば流石の門構も風雨には敵しがたしと見え、今では殆んど崩れかからんする有様にて甚だ剣呑に相見え申候。然る処間切長様には間切経費の足らざるゆへにや、或は又た左ほどに命は惜くは感ぜられず候にや。今に修築致さるる様な模様相見え申さず候処、吾々人民にはナカナカ命は惜く候ゆへ、経費の足らぬなら間切議員と御談合の上一日も早く修築致し、一般の危険を予防被下候様切に御願申候。(中城間切住民)
中城片信
〔沖毎 大3・10・31・土〕
中城村字喜舎場青年会は、去る二十五日道路の落成式と共に挙行されたり。会員は心勇みに勇みつ我れ先きにと当字の躍場に集合し定刻となるや比嘉村長代理、有馬駐在、島袋喜舎場校長を始めとし、長寿者其の他一般有志者等無慮百人、先づ安里会長開会の辞を述べ、続いて君が代の国歌を合唱しつ、青年会の限りなき栄へを祈りて児童の出席奨励、農事の奨励、誨告、諸報告等順序よく行ひ、後に島袋校長の「学校と家庭及び一坪農業」の奨励談、比嘉訓導の「協同一致」に関する有益多趣味なる講話等ありて、一同、十二分の快を尽したり。後また比嘉永秀氏の農家と畜産奨励談は会員一同
をして真に傾聴するに値あらしめ、同氏の発議にて、棒躍、唐手等の余興は道路落成祝賀を兼ねて、盛大に挙行されたり。因に言ふ。今回落成式を挙げたる農道は当字民協同一致の努力と安里永秀氏の測量によりて去る八月に完成を遂げたる。然かも本村道路の審査の時には、一等の賞に与あずかりたる模範道路にして、之れ全く字青年会の協心同力の賜たらずんば非らざるなり。願はくは小は大に及ぼして、字一村の繁栄のために大なる奮闘努力あらんことを。
(通信子)
駐在の部長さん肝入で解消
中城安谷屋の白黒抗争
〔琉新 昭14・10・5・木〕
中城村字安谷屋は戸数一八〇戸だが、現区長比嘉治氏が昨年二月区長就任以来、村議比嘉冨良氏一派と事毎に対立し字共同作業其他諸行事も円滑を欠き面白くない白黒争ひをなし、殊に字有の葬式用龕の修理を繞って区長一派と多数派の村議一派とが感情尖鋭化したので、時局下苦々しい白黒解消のため普天間部長派出所新里巡査部長が調停役となり、両派幹部に対し字一致総親和を説いた結果、去る九月二十九日午后三時から字事務所で両派幹部六十名集合懇談したところ、従来の感情を水に流し将来一致団結して字発展に尽力を約束、近日中に両派一体となり龕の祭事を盛大に催して白黒解消の手打式を行ふことになった。
村史でみるあの日は、今回をもって終了し、次回から、同じく新聞編の「コラム」を掲載します。 |