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村民の皆様と情報を共有し、一緒に考え、協力して、ともに行動する住民協働のまちづくりを目指す
1 はじめに
 本日ここに、平成19年第2回北中城村議会定例会の開会にあたり、提案いたしました議案等の説明に先立ちまして、村政運営の基本姿勢と主要施策の概要を申し述べ、村民の皆様をはじめ、議員各位のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
 私は、平成16年12月に村長に就任して、折り返し点を過ぎ3年目を迎えます。この間、財政の健全化を図り、将来にわたり持続可能な村政を確立するために、「新北中城村行財政改革大綱」及び「行財政改革実施計画」を策定し、事務事業、組織機構を見直し、簡素で効率的な行財政体制を構築するとともに、実施計画で掲げた数値目標の達成に向け、取り組んでまいりました。
 我が国の経済は、戦後最長であった「いざなぎ景気」を越える景気拡大が続いていると言われています。また、平成19年度の国内総生産の実質成長率2.0%程度、名目成長率2.2%程度の予測となっています。
 しかしながら、雇用情勢は総体としては改善しつつも依然として厳しさを残し、消費にも弱さが見られるなど、生活実感としての「回復感」は薄いのが実態です。特に本県の経済は、全国一高い失業率の中で楽観することはできません。
 一方、地方自治体を取り巻く環境は、国の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」を踏まえ、財政健全化について2001年度にはプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字化する目標を設定し、歳出を抑制する方針を打ち出しております。地方自治体においても、国の取り組みと歩調を合わせて、各分野にわたり歳出を厳しく抑制することとしています。
 地方分権が進む中で、自己決定・自己責任、の原則を踏まえながら、大胆な行政運営に取り組むことが求められ、自治体の創意工夫や力量により、地域のまちづくりや住民サービスのあり方など、自治体間で格差が生じる時代になっています。
 このような厳しい変革の時代の中で、本村の将来像とする「平和で活力ある田園文化村」の実現に向け、「愛される村づくり」を基本姿勢として、公平・公正で民主的な村づくり、村民一人ひとりが大切にされる村づくりを推進していきたいと思います。そのためには、村民の皆様と情報を共有し、一緒に考え、協力して、ともに行動する住民協働のまちづくりを目指します。
今年度の特徴的な施策としては、「村民が決める村民支援制度」の創設、「職員が決める職員支援制度」の創設を企画し、芽出しをしていきたいと考えております。
 併せて、村民との対話を重視するという観点から、小グループでも可能な村長との「ミニ懇談会」の実施を検討してまいります。

 以下、各分野における本年度の主な施策・事業について申し上げます。

2 生活環境の 整備及び都市計画
 道路整備事業について、道路は、住民が最も必要とする基本的な社会基盤であり、安全で利便性の高い、住みよい生活環境の整備を図るため、住民ニーズと生活環境の現状を踏まえて、安全性、緊急性、実効性等の視点に立って優先順位を定め、計画的に道路整備事業の推進を図ってまいります。また、下水道が布設される集落内生活道路は、下水道工事と併せて整備を進めてまいります。
 今年度は、特定防衛施設周辺整備調整交付金及びSACO特定防衛施設周辺整備調整交付金事業として、喜舎場安谷屋線整備工事、渡口島袋132号線整備工事、熱田大城線整備工事、島袋93号線整備工事、また、地域の安全確保のための要望が強く懸案事項となっていた熱田埋立地からの避難道路として(仮称)熱田146号線整備事業を実施します。さらに、地方改善施設整備事業として、安谷屋地区道路整備工事を実施します。また、地域から要望がありました村道喜舎場荻道線防犯灯設置工事を実施してまいります。

 喜舎場スマートICの本格運用に向けた取り組みについて、去年の11月から、沖縄自動車道喜舎場バス停付近で、県内初のETC車専用の社会実験が行われています。社会実験において、利用車両台数が好調に推移していることから、平成19年度には、本格運用へ移行することになっております。
 今回の運用では、民間地域だけのIC設置となっています。フルICの設置により、村内の交通の渋滞緩和はもとより、産業の振興や、返還軍用地の跡地利用等に大きく貢献することが期待できることから、喜舎場ハウジング地区内のIC設置の実現に向けて関係機関に働きかけてまいります。

 島袋野比灘原土地区画整理事業については、これまでの経過、社会経済情勢の動向等を踏まえ引き続き準備委員会と協議してまいります。

 都市公園事業につきましては、若松公園内の若松の墓付近の巨石防護対策として、引き続き関係者などと協議の上、抑制工の対策を図ってまいります。

 あやかりの杜施設整備及び開館準備について、今年度において建設工事が完了する予定であり、建物の建設とあわせて、館内備品をはじめ、グスク関係図書資料の整備を図ります。
 また、生涯学習複合施設として、図書館や研修施設、滞在交流施設、キャンプ場を有するあやかりの杜施設の効率的な運営と円滑な推進を図るため、「あやかりの杜推進対策委員会」において、管理・運営、そして収益性のある事業導入等について検討を進めてまいります。

 上水道事業については、給水人口の増や生活文化の向上に伴い、給水区域内の安定供給と安心安全な給水を図るため、年次的に配水施設の整備と水道事業経営の安定化に努めてまいります。
 本年度は平成15年度から平成18年度まで継続事業により施行した、島袋配水池とポンプ場が完了し、平成19年4月からの島袋地域への供用を開始します。また、引き続き老朽化した配水管の改良工事を行うとともに、安全な水道水の供給を図るため、水質検査を前年同様に実施します。

 下水道事業については、清潔で快適な生活環境の確保、海や河川等の公共水域の水質の保全等の重要な役割を担っており、住民生活に不可欠な事業であります。
 現在、平成15年度に事業計画の変更により中城湾流域197ヘクタール、中部流域264.4ヘクタールについて事業認可を得て事業を実施しております。
 今年度は、中城湾流域の喜舎場地区の公共下水道汚水枝線工事と、中部流域の島袋地区の公共下水道汚水幹線枝線工事を実施してまいります。

 環境衛生事業については、大量消費社会から廃棄物循環型社会を目指すためのごみの五種類分別収集は、村民の協力で順調に行われています。更にごみの減量化や資源化を推進し、循環型社会への意識の高揚に努めます。また、生ゴミ処理機補助等ごみ減量化推進対策を継続実施するとともに、環境の悪化をまねく不法投棄等を無くすため、不法投棄パトロールを実施してまいります。

 EM生ゴミ処理による地域環境づくりについて、生ゴミの処理は高額な経費を必要とすることから、EMを活用して、生ゴミを処理することにより、経費の節減とEM肥料への再生が可能なことから、今年度は「EMモデル地区」を指定してEM活用の更なる推進を図るとともに地域環境の浄化に努めてまいります。 

 地域防災計画については、平成18年度に引き続き、北中城村防災会議を開催し、沖縄県の防災計画との整合性を図るとともに、県と協議のうえ、防災計画書の見直し及び防災マップの作成を行います。

 消防体制の拡充について、昭和53年に中城村と一部事務組合、中城北中城消防本部を設置して以来、複雑多様化する各種災害に対処し、安全・安心な地域づくりに取り組んでまいりました。
 今年度も、火災予防対策及び防災意識の普及啓発をはじめ、各種災害に対する警防・救助技術の向上及び救急業務の高度化に伴う体制の整備・充実さらには、消防団員の確保及び活性化・充実強化のほか、職員研修などを実施してまいります。

3 産業の振興
 景気は、緩やかな回復基調を呈していますが、雇用情勢は依然として厳しい状況にあります。特に若者の就労の機会が少なく、若年層の失業者が多いのが現状となっており、雇用創出が緊急な課題となっています。積極的な情報収集を図り、企業誘致に取り組んでまいりたいと考えています。
一方、ものづくりや地域づくりのための人材も育ちはじめており、積極的な支援策を講じるとともに、食と健康を柱にした農林水産業の振興や人材育成を基本としながら商工業、観光の振興を図ってまいります。

 オーキッドバレー跡地利用について、平成14年に解散した第三セクターのオーキッドバレーの跡地利用については、これまで大学院大学の誘致などの取組がなされてきましたが実現には至らず懸案事項の一つとなっておりました。
 平成18年に民間業者による賃貸共同住宅及び戸建住宅として、1戸の改築及び26戸を建設し、アメリカ総領事公邸や副領事などの公邸を誘致する計画が提案され、建築工事が行われております。今年の5月末までには完成する見通しであり、オーキッドバレー跡地利用が図られることになりました。

 農業振興においては、施設園芸による品質の向上と農薬使用の低減を図り、食と健康をテーマとした減農薬栽培の実証農家を育てながら、農家経営の安定が図られるように努めます。
 野菜、花卉等を中心に生産振興の再活性化のため、情報の収集、提供、農家及び部会の育成強化を県農業改良普及センターやJA営農センターと連携を図りながら取り組んでまいります。
 本村における農産物の生産は、野菜、ラン、菊、観葉及び果樹の栽培と小規模経営ながらも多種多様な作物を出荷しております。しかしながら近年、高齢化や後継者不足が一段と進行しており、認定農業者等担い手の育成・確保が喫緊の課題となっております。  
 そこで、遊休地台帳を基に貸し手の掘り起こしを行うと同時に規模拡大農家等、借り手の掘り起こしも行い農業の活性化に努めます。
 さとうきびにおいては、新たな政策(さとうきびの価格形成と支援政策)に対応するために設立した北中城村さとうきび生産組合と連携して、平成19年度産から実施される、新たなさとうきび経営安定対策に対応してまいります。
 また、今年度も農水産物フェアーを開催して、村内で生産される農産物を紹介し、農業への理解を深め、生産者と消費者間の交流を図ってまいります。また、地産地消の拡大を図るために産業振興課や学校給食共同調理場が生産農家と連携のもとに、地産地消連絡協議会(仮称)を立ち上げ、食材情報の共有化をはかり安定的な供給体制を構築してまいります。

 農業用排水路の管理については、排水路の老朽化がみられる荻道地区排水路整備事業の実施設計をおこなって、特に雨水が多量に流れ込む箇所については、排水路整備を進めながら土砂流出防止策等を講じて農地の保全に努めてまいります。

 松くい虫対策については、重要松の保護及び被害木の伐倒、焼却処理等の対策を引き続き実施するとともに、今年度は薬剤の樹幹注入により健全木の保全に努めます。

 漁民の支援について、これまで実施してきた漁業資材補助及び村漁業組合育成補助等を引き続き実施してまいります。また、県内一の生産量を誇るアーサ養殖は、ほとんどの生産量を村外に出荷している現状を見直し、生産部会の中で生産から出荷までを、冷凍アーサ、乾燥アーサ、アーサスープ等の製品化を図りながら、村の特産品として消費拡大をめざし、取り組んでまいります。
 また、今年の3月には、本村アーサが「沖縄県魚貝類拠点産地形成事業」に認定されることになっております。
 今年度は、アーサの地域ブランド確立にむけ、「北中城アーサ」として商標登録を取得し、「アーサの日」制定にむけ取り組んでまいります。
 また、生産技術や経営の指導実施及び生産施設の整備等の各種支援策を検討してまいります。

 商工観光振興については、商工会と連携を密にして商工会の活性化に向けて、取り組んでまいります。また、観光振興におきましては、沖縄観光コンベンションビューローと連携を図りながら、地域観光のPRや新たな観光スポットの創出等、地域活性化に努めてまいります。

 北中城まつりについて、「村民参加による手づくりのまつり」として定着させ、村民が集う語らいの場として活用するとともに、各種団体の育成・発展につなげていきたいと考えております。

 特産品の開発について、地域特産品は、観光のみならず地域振興にとって重要な要素であり、地域と協力して特産品の開発と商品化を進めてまいります。
 今後は、農協、商工会、漁業組合、農家、生産部会、果樹振興会、生活研究会等との連携を図るとともに、消費者ニーズ及び流通体系に沿ったシステムの構築、特産品の開発、流通・販路開拓等の方策を検討してまいります。
 また、技術力・生産体制の整備、企画開発力・販売力の強化等に努めるとともに、これらを支える人材の育成と確保に取り組んでまいります。

 EMによるまちづくりについて、昨年度は、EM拡大機(百倍利器)を役場構内に設置し、各自治会に拡大液を提供して、EMの普及に努めてまいりました。EMの活用につきましては、自治会によって差があるのが現状です。今年度は、EMによるまちづくりをさらに普及推進するとともに、EM技術を活用した産業振興を図るため、EM研究機構と連携し、取り組んでまいります。

4 保健・医療・福祉の充実
 村納骨堂について、村内に散在する無縁仏等の遺骨を納骨するための村納骨堂の建設については、昭和46年頃から取り組まれてきましたが実現にはいたらず、長年の懸案事項となっておりました。
 今年度、納骨堂の「永代使用権」を取得して、「村納骨堂」を確保し、村内に散在する遺骨を納骨します。また、現在、具志川葬斎場に賃借料を支払い管理している遺骨一体と、今後、村内で発見された場合の遺骨についても納骨が出来ることから、「村納骨堂」が実現できるよう取り組んでまいります。

 保健衛生については、沖縄県は、肥満の割合が高く、働き盛り世代の心筋梗塞、脳卒中が増加し、肥満等に起因する生活習慣病予防対策が緊急の課題となっています。
 健康づくりの指針として平成17年度地域保健福祉計画「健康21北中城」を策定し、健康寿命延伸、壮年期死亡の減少及び生活の質の向上を図るため、生活習慣の改善、危険因子の低減及び疾病の減少に向けた取り組みを推進してまいります。
 具体的には、住民健診を実施し、がんや生活習慣病の早期発見に努めるだけではなく、心臓病、脳卒中、糖尿病などの生活習慣病を発病する危険性の高い方には、早期に介入することで発病を予防することに努めるとともに、メタボリックシンドロームと呼ばれる内臓脂肪症候群の概念を広め、村民一人ひとり、特に働き盛りの世代が、自らの健康への関心をもち、保持増進できるよう健康推進員等と連携を図り取り組んでまいります。
また、老人保健法に基づく医療以外の保健事業(老人保健事業)として、健康手帳の交付、健康教育、健康相談、健康診査、訪問指導を実施し、生活習慣の予防、疾病の早期発見など、壮年からの健康づくりを推進してまいります。

 予防接種事業については、感染症予防の重要性から、予防接種法に規定される第T類疾病の予防接種を完全無料化し接種率の向上に努めてまいります。
 今年度も、麻疹・風疹予防接種漏れ者対策を継続実施します。また、平成17年度に中止になった日本脳炎の予防接種については、リスクの低いワクチンが開発されしだい、検討、実施に取り組んでまいります。
 また、第U類疾病のインフルエンザ予防接種は、高齢者を対象に継続実施してまいります。

 母子保健事業について、子育て環境が多様化するなか、次代を担う子どもたちが健やかに生まれ育つよう母子保健事業を展開してまいります。
 母子の心と体の健康を保つため乳幼児健康診査、歯科検診、離乳食実習やマタニティー講座、思春期における保健福祉体験学習事業を実施し、地域、学校、母子保健推進員等と連携を図り取り組んでまいります。

 乳幼児医療費助成事業については、今年度も三歳児未満の医療費、五歳児未満までの入院費を助成対象として取り組んでまいります。

 国民健康保険については、一般医療費の増額、前期老人(70歳〜74歳まで)の増加により、老人医療費拠出金や介護納付金等が高騰しています。また、平成14年度から国民健康保険税の一般被保険者の徴収率が91%台へと落ち込み、15年度及び16年度において国民健康保険基金の総額の取り崩しを行いました。平成17年度には、9千112万8千円の赤字決算となり、18年度は、さらに厳しい財政運営となっています。
 このような厳しい財政状況を改善していくには、国保特別会計としての歳入の確保を図る必要があります。収支のバランスが崩れている現在の状況を踏まえ、被保険者に対して、国保財政の安定的な運営を目指すため、医療費の上昇に見合うような国民健康保険税率の改正等を行い、徴収体制を強化し財源の確保に努め、健全な国保運営に努めてまいります。
 さらに、国保被保険者の健康の保持・増進を図るため、健康増進法と整合のとれた保健事業を積極的に取り組んでまいります。具体的には、17年度から実施している、メタボリックシンドローム(内臓肥満型症候群)を対象としたヘルスアップ事業やその他の保健事業等の実施と合わせて、レセプト点検を強化し、医療費の適正化に努めてまいります。

 老人保健医療は、平成14年10月から始まった適用年齢、本人負担率及び公費負担割合の引き上げにより、15年度は医療費が減少しました。しかし、16年度、17年度は、一人あたりの医療費の高騰、また、高額医療費においては、老人医療加入者も高額医療費制度が適用されたことにより医療費が増加しております。さらに、国民健康保険に移行した前期高齢者(70歳〜74歳)を含め、高齢者全体に係わる医療費の負担が増加傾向にあり、老人保健医療費は、16年度、17年度は、赤字となり繰上充用となりましたが、18年度は、若干、医療費も改善しているようにみられます。19年度は、引続き、確かな収入の確保を模索しながら、被保険者に対し制度の説明と健康教育、医療費通知、レセプト点検の強化等、老人医療費の適正化対策に取り組んでまいります。また、保健師による訪問指導等とタイアップして老人保健医療の事業を実施してまいります。
 さらに、20年度から、現在の老人保健医療費制度に代わる「後期高齢者医療制度」が新設されることになっており、平成19年3月に設立された、沖縄県後期高齢者広域連合とともに後期高齢者医療制度の新たな制度の運用に向けて、設立・運営に努力してまいります。

 福祉事業について、急速な人口減少は、社会保障制度の存続に関わる問題として将来的に持続可能な制度へと制度改革が進められています。その結果、増大する福祉サービスの費用負担を新たに求め、課税や利用者負担が増大し大きな課題を抱える一方で、地方財政が冷え込む中で、村独自の新たな負担軽減策を打ち出すのが困難な状況となっています。
 地域においては、今まで果たしてきた相互扶助の精神が薄れつつあり、行政の補完的役割・地域機能の回復に向けての取り組みが重要となっています。これまで社会福祉協議会で取り組んできたボランティア育成事業はその解決策となるものであり、今年度から新たに地域福祉ネットワーク事業を立ち上げ、障害者や高齢者等が住み慣れた地域で生き生きとした人生が送れるように地域の福祉力向上に向け引き続き社会福祉協議会を後押ししてまいります。

 障害者福祉について、平成18年度に障害者自立支援法が施行され、障害の種別を問わず福祉サービスを一元的に提供することになりました。それに伴い精神通院医療、更生医療、育成医療が自立支援医療として給付されることとなりました。自立支援法が制度内容の大幅な改革となることから、各種福祉団体から制度の見直しや利用者負担の軽減要請の意見が寄せられている状況もあります。この事を踏まえ利用者負担の更なる軽減と新法移行のための緊急的な経過措置が執られる予定となっております。
 制度改正の狭間においても、障害者の日常生活の一部である福祉サービスの中断はあってはならず、迅速な対応と利用者負担軽減制度の適正な実施により当事者の不利益にならないように努力してまいります。
 市町村の必須事業である地域生活支援事業の相談支援、移動支援、コミュニケーション支援、日常生活用具の給付、地域活動支援センター等事業の適切な実施と障害者が自立した日常生活、社会生活を営むために必要な事業の実施に努め、介護給付や訓練等給付事業等の個別給付事業を組み合わせ、効果的な事業実施に努めてまいります。

 児童福祉について、保護者の就業形態の多様化は通常保育事業以外に新たな保育サービスの提供が求められてきています。今年度から保育所の閉所時間をこれまでの、18時30分から30分延長する延長保育事業を実施して、保育サービスの需要に対応してまいります。また、障害児をかかえる家庭の負担軽減と障害児の福祉の増進を図るため北中城村障害児保育実施要綱に基づき満1歳からの障害児保育を引き続き実施し、安心して子供を産み育てられるように保育環境の整備に努めてまいります。
 母子・父子家庭等に対しては、公立・認可保育所への優先入所、児童扶養手当の支給、医療費助成事業を引き続き実施し、経済的自立の助成を図ります。

 高齢者福祉について、本村の65歳以上の高齢者人口は、平成18年10月1日現在で村人口の16.5%で、2千697人となっております。今後は団塊の世代の推移と共に、本村の高齢者数、総人口に占める高齢者の割合が共に大幅に伸びてくることが予測されます。
 今年度は、高齢者が地域で安心して生活できるように、運動機能向上事業、認知症予防事業、口腔機能向上事業等の介護予防事業などを実施してまいります。

 介護保険については、高齢者人口の伸びと共に要介護認定者が増加し、介護給付費が増大してきております。高齢者が生き甲斐を持って生活を営めるように、要介護状態になる前の段階での予防が重要となります。北中城村地域包括支援センターが行っている高齢者の総合的な相談支援事業や要支援・要介護となるおそれの高い高齢者把握事業(特定高齢者把握事業)の充実強化で、包括的支援事業を円滑に実施するとともに、新たに要支援1、2に認定された要支援者に対しては、適切な予防給付が受けられるように当事者の意向に添ったケア・プラン作成により、要介護度が重度化しないように努めてまいります。

5 教育・生涯学習の充実
 本村は、個性の尊重を基本とし、郷土の自然と文化に誇りをもち、創造性・国際性に富む人材の育成と生涯学習社会の振興を期して、次の目標を掲げ教育施策を推進します。
@自ら学ぶ意欲を育て、学力の向上を目指すとともに、豊かな表現力とねばり強さを持つ、幼児・児童・生徒を育成する。
A平和で安らぎと活力のある社会の形成者として、郷土文化の継承・発展に寄与し、国際化・情報化社会で活躍する心身ともに健全な村民を育成する。
B家庭・学校・地域社会の相互連携のもとに、時代の変化に対応しうる教育の方法を追求し、生涯学習社会を推進する。

 学校教育の充実については、学校教育の主要施策6項目とその努力点15点を策定し、教育目標の実現に向けて努力していきます。学力向上対策については、これまでの19年間の成果と反省の上に策定された県の「夢にぬふぁ星プランU」(平成19年度からの5年間)の目標の実現に向けて、本村の特性を活かして具体的に取り組みます。
 たくましい心と体を育むため、心身の健康の保持増進と体力の向上を図ります。また、児童・生徒のやる気支援と居場所づくりに取り組むとともに、進路指導の充実・就業体験学習の推進等、自らの将来にしっかりした目標を持たせ、自己実現に向けた学習意欲の喚起を図っていきます。
 特色ある学校づくりをめざし、「幼小中連携」と「少人数指導」を重点目標にしつつ、「わかる授業」「参加する授業」を展開し、個に応じた指導を進めてまいります。また、北中城村幼小中学校連携授業研究会等を開催し、研究授業をとおして、教職員相互の学びの中から、校種間・各学年間の「たすき」を渡して、児童生徒の学力向上を推進していきます。
 「開かれた学校づくり」を推進し、学校の自主・自立性を高めつつ、学習支援ボランティアの効果的な活用、学校評議員制の充実、「学校の自己評価・自己点検」を積極的に進めていきます。
 読み聞かせ・読書習慣の定着・家庭学習の習慣化を図るため、引き続き学校・地域と連携して具体的に取り組みます。また、中学校に教育相談員を配置し、いじめ・不登校・教育相談等、校内外の様々な問題についての支援事業を行います。生徒増と低学年に実施されている少人数学級の実施のため、プレハブ教室一棟を設置します。
さらに、児童通学の安全を確保するため、昭和62年に購入したスクールバス一台を更新します。

 幼稚園教育においては、幼稚園教育要領に基づき、幼児一人ひとりの発達の特性を生かしつつ、創意工夫を加えていきます。前年度試行として実施した「預かり保育」について、本年度は本格実施を行います。また、私立幼稚園への就学補助事業を前年度に引き続き実施します。さらに、建築後三十年を経過し老朽化した幼稚園舎問題の解決に向けて、検討していきます。

 国際理解教育・英語教育の推進のため、小中学校の「ネイティブ・アシスタント派遣事業」を週1回程度幼稚園にも導入し、遊びを通し英語に親しむ授業の試行をします。また、今年度も「北中城村英語ストーリーコンテスト」を小・中・高を対象に実施し、英語教育の積極的推進に努めます。村出身者海外子弟交流事業とも連携し、小・中・高校生徒との交流を深めます。情報化教育の推進のため、「小・中学校コンピューターインストラクター派遣事業」を継続、その操作・活用能力の向上を図ります。
 島袋小学校における「理科教育」の充実のため、前年度同様、専科の非常勤講師を配置します。
 安全安心の確保については、自主防犯活動の活性化・継続化を全村・父母・地域ぐるみで取り組みつつ、特に登下校等の安全に十分配慮し、学校安全計画に基づき、幼児・児童・生徒の安全の確保に取り組みます。また、児童生徒の安全・安心を確保する手だてとして学校バスの効果的活用を行います。
 特別支援教育については、本年度の「特別支援学校への移行」を見据えながら、幼児・児童・生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じた教育支援を行うほか、普通学級との交流及び共同学習の機会の拡充に努めます。村立学校へのヘルパー派遣要請については、「派遣要綱」に基づき実施します。
 姉妹町村である岩手県葛巻町との友好交流を図るため、今年度は葛巻町からの中学生を迎え交流を図ります。また、中部広域市町村圏事務組合主催の最上広域市町村との交流事業を継続し、小学生を派遣し交流を深めます。

 学校給食は、安全衛生面に細心の注意を払い、安全と栄養面に配慮し、地産地消をモットーとした食材の確保を図りつつ「食育」の充実に努めます。また、給食費の滞納問題について、引き続き取り組みを強化していきます。
 前年度、設置した「北中城村長期教育振興策定委員会」は平成19年度中の策定に向けて、引き続き論議を重ねていきます。

 社会教育の振興について 学校で行われる教育活動以外の青少年や成人を対象とした社会教育活動を進めるために、地域の社会教育団体やNPOを育成・支援しつつ、家庭、学校、地域、行政が連携・融合していくことが望まれています。
 本村の教育目標実現のため本年度は、次のような事業を展開します。

 生涯学習事業(公民館活動)については、生涯学習の拠点施設である中央公民館を中心に村民のライフスタイルに即した各種事業を展開していきます。また、地域の交流の場であり、地域活動の拠点である各自治公民館との連携を引き続き図り、コミュニティーの活性化に努めます。
 今年度は、和仁屋公民館の建設と併せて、渡口公民館の実施設計を進めます。そして、和仁屋公民館については自治会と協議し、指定管理者制度の導入を図ります。
 公民館事業として、ふるさと講座やパソコン教室をはじめ各種講座・教室を実施するとともに、青年会・婦人会・老人クラブ等の研修等を実施し社会教育関係団体の強化に努めます。

 社会体育事業については、村民が健康や体力の増進を図り、継続してスポーツに親しむ習慣を身につけるため、一般成人を対象としたふれあいグランドゴルフ大会やマットティラピス教室、小・中学生を対象とした自然体験キャンプや夏休みスポーツ大会等の事業を実施するとともに、体育指導委員を活用したニュースポーツの巡回指導を実施します。
 また、村体育協会においては、新しくゴルフ競技の実施を行う等、事業の充実と拡大を図り、住民のニーズに応えていきたいと思います。
 平成22年開催予定の全国高校総合体育大会「自転車競技(トラックの部)」の準備作業として、開催地の視察や体制づくりに取り組んでいきます。

 文化財保存活用については、未指定文化財の新規指定に向け準備を進めるとともに、収集した民俗資料等の展示や「中城若松の墓」の保存整備を図ります。
 また、小・中学生を対象とした本村の文化財に関する図画・作文を募集し、中央公民館や役場において展示し、村民に対して文化財への関心と理解の周知を図ります。
 伝統文化を継承し、歴史を正しく学ぶとともに地域や各家庭にある民俗資料の散逸、破壊を防ぐため、引き続き民俗資料の収集を実施します。
 そして、返還予定の米軍施設の埋蔵文化財の確認調査の実施に向けた取り組みを今年度も継続していきます。世界遺産の中城城跡の保存活用については、中城村と連携し、城跡に関する資料の収集や冊子の発刊等に取り組んでまいります。

 中・高校生の海外短期留学については、海外で学習する機会を与えることにより、異文化理解と視野の拡大、国際性豊かな人材並びに国際社会に適応する資質の向上を図る目的で夏休み期間中に「海外短期留学」を実施します。
今年度から新しく導入される放課後子どもプラン事業については、両小学校区において実施を図ります。 

6 平和・交流・ コミュニティーの創造
 平和行政について、戦後65年が経過する中で、世界各地では、いまだ、紛争やテロが後を絶ちません。平和の尊さ、戦争の悲惨さを認識し、後世に伝えて行くことが私たちの責務です。今年度も「平和を守る北中城村民の会」の事業活動と連携して、「平和・復興写真展」を開催するとともに、平和意識の高揚に向けた取り組みを進めてまいります。

 男女共同参画について、審議会、委員会等の女性登用状況は県内の市町村で上位の方にあり、今後も登用率を堅持するように努めます。

 村史編纂事業については、村の歴史、文化、産業等の記録を次世代に引き継ぐ貴重なものであり、今年度は「戦争編」の平成20年度発刊に向け取り組みます。また、引き続き「文献資料編」の資料収集等にも努め、早期の発刊につなげていきます。

 海外移住者子弟研修生の受入れについては、今年度も、南米三カ国(アルゼンチン・ブラジル・ペルー)から研修生を受け入れ、北中城村・沖縄の伝統文化の習得、日本語学習の研修を実施します。

 基地跡地利用の促進については、米軍基地のキャンプ瑞慶覧ロウワープラザ地区や喜舎場ハウジング地区の一部とアワセゴルフ場の返還予定地について、返還後の速やかな跡地利用をめざし、これまで国の大規模駐留軍用地跡地等利用推進費やプロジェクト・マネージャー派遣事業などを活用して、跡地利用計画の策定に取り組んでまいりました。
 また、アワセゴルフ場の跡地利用計画では、将来の本村発展の原動力となるよう、複合型商業交流施設ゾーンを核とした計画となっております。このゾーンには、イオンモール株式会社が進出の意向を示し、アワセゴルフ場地権者会と「覚書」を締結しております。
 今年度は、返還予定地の市街化区域編入に向けて、区画整理事業における地権者組織の「準備委員会」を結成するとともに、返還跡地等利用計画を村の関連計画「総合計画」、「国土利用計画」及び「都市マスタープラン」に反映させるための見直しをおこないます。
 さらに、国・県の関係機関や地権者、企業との連携を密にし、跡地利用の促進に向けた条件整備に取り組んでまいります。

7 行財政の運営
 行財政改革の推進について、平成17年度を初年度として平成21年度までの5カ年計画で、新北中城村行財政改革大綱及び実施計画を策定し、「痛みを分かち、みんなで創る新生北中城村」をキャッチフレーズに村民参加による「愛される村づくり」を目指して行財政改革を推進してきました。
 本年度は、行財政改革五カ年計画の3年目に当たり引き続き同計画の具体的な数値目標に基づき、行政改革推進本部を中心に職員一丸となって「行政と村民の協働による行政運営」を基本に行財政改革に努めます。

 事務分掌の見直しについて、地方財政を取り巻く厳しい環境の中で、多様化する村民ニーズに的確に応えるため、より効率的な事務事業執行組織に向けて、課の分掌事務を見直します。

 地域情報化の推進について、総務省の補助事業である「地域イントラネット基盤施設整備事業」は、目下、事業採択に向けて諸準備に取り組んでいるところですが、この事業は、学校、図書館、公民館、役場などを高速・超高速で接続する地域公共ネットワークを整備するもので電子自治体を推進するものとして期待されています。

 事務の効率化について、行財政改革との協調により簡素で効率的な行政運営を実施していく観点から、本村における情報システムの開発・運営経費の縮減や効率的・効果的なシステムの見直し等は、重要な課題であります。このような状況を踏まえて、本村の情報システムの効率化に向けた取り組みについて、調査・研究を実施してまいります。
 情報公開と個人情報保護について、村が保有する公文書を北中城村情報公開条例に基づき、積極的に住民に公開し、村民の知る権利を保障し、行政の説明責任を果たします。また、情報公開に当たっては、個人情報保護の徹底を図ります。

 協働のまちづくりの促進について、「村の広報」や「村ホームページ」が村政と村民を結ぶ最も身近な情報伝達の手段となっていることから、読みやすく、わかりやすく、そして親しみのもてる編集に努めてまいります。一方、村民の方々の悩みや不安などの相談に応じる人権相談や法律相談などの各種相談業務につきましては、引き続き、その充実に努めてまいります。
 活力ある地域社会を築くためには、村民の皆さんの村政参加が不可欠です。住民参加のまちづくりを推進するため、「地域懇談会」などを開催し、村民とのコミュニケーションの充実を基調とした公聴機能の拡大・強化に努めます。
 また、地域共同体の担い手である自治会の活動を支援するために、「自治会育成交付金」を交付します。

 徴収体制の強化について、三位一体の改革による所得税から住民税への税源移譲に対応していくために、税の徴収体制を強化します。
 また、滞納繰越分の徴収については、前年度に引き続き徴収の専門知識を有する県税OBを嘱託員として配置するとともに、現年度分の徴収率の向上を図るため、電話督促、訪問指導をするため、村税納付督励嘱託員を配置し、徴収率の向上に努めます。
 さらに、高額滞納者に対しては、中部地区個人住民税徴収対策協議会と連携をして徴収に努めてまいります。

 職員研修について、社会経済情勢の急激な変化、分権型社会の進展、住民福祉の向上、地域活性化など様々な課題や多様化する住民ニーズに応えるためには、職員の政策立案能力や実務遂行能力を高めていくことが重要であります。
 市町村職員中央研修所が実施する市町村アカデミー研修へ職員を派遣し、能力、意欲、士気の向上を図ります。職場研修の実施と自治研修の主催する研修に引き続き職員を派遣します。

 財政運営については、地方分権の推進による事務の権限委譲や国の「骨太の方針2006」における財政健全化への取り組みとして、国、地方を通じた、徹底した歳出削減方針が示されており、これまでにもまして、効率的な村政の運営を行うことが求められております。
 本村の、平成19年度予算は、歳入において、村税収入が定率減税の廃止や税源移譲による増収と併せて、あやかりの杜整備による国庫補助金の増加が見込まれますが、一方、所得譲与税や減税補てん債などの廃止などによる減収も見込まれております。
 また、歳出においては、清掃事務組合負担金、国民健康保険事業特別会計繰出金などへの対応、あやかりの杜整備事業、地域イントラネット基盤施設整備事業や和仁屋公民館建設事業などにより大幅な増となっております。
 税源移譲等による歳入の伸びに比べて、補助費や普通建設事業等、歳出の伸びが大きくなったことから、財源不足に対応するために基金からの繰入により対応しました。
 今後の財政運営について、平成20年度に図書館を核とした生涯学習施設として、あやかりの杜施設が供用開始される予定です。今後、その運営のための、経費が新たに発生することにより大きな財政負担が予想されます。
 健全な財政基盤を確立するために、歳入の根幹である村税の徴収率の向上や行財政改革の着実な実施と合わせて、これまで以上に経費の徹底した節減や合理化に努め、効率的な財政運営に努めてまいります。

8 むすび
 平成19年度の予算につきましては、これまで申し上げました諸施策を実施するため次のように予算編成を致しました

一 般 会 計 57億7,956万7千円
国民健康保険特別会計 20億1,694万9千円
老人保健特別会計 10億8,781万9千円
公共下水道事業特別会計 3億7,187万4千円
水道事業会計 5億6,702万4千円
合  計 98億2,323万3千円

 以上、平成19年度の村政運営の基本姿勢と主要施策の概要について申し上げましたが、予算執行をはじめ、本村の抱えている諸課題解決にあたり全職員一丸となって最小の経費で最大の効果をあげるという視点から、事務事業の見直し、経常経費の抑制及び行財政の効率的な運営を目指して、村民福祉の向上に全力を尽くしてまいります。
 村民の皆様をはじめ、議員各位のご理解とご協力をお願い申し上げ、私の施政方針と致します。
平成19年3月9日
  北中城村長 新垣邦男




 

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