今般独逸に於て開催する万国学術博覧会事務所より文部省を経て本県庁にユータ経聖典の出品方照会ありたる由なるが、該経は、今は本県にても殆んど跡を絶ち僅に唯一部中頭郡中城村熱田小橋川家に珍蔵されあるのみなるが、該経は何時代に出来たるものにか未だ学者の鑑定を経されど寔に希観の珍品にて普通半紙型の紙が長さ五間位に及ぶ折本にて全文奇体なる象形文字にて成り、下注に所々沖縄語の説明あれど本文は少しも読めず、奇怪不思議の珍籍なるが、今回右出品の照会を受けたるより中頭郡役所
に命じ早速同家に交渉し、原文に就き謄写を了し不日送本することとなれり。猶、盛衰の碑文浦添英祖城の碑文等を刷物にして出品することとなれり。右ユータ経が世界の学者の眼に如何に映し如何なる研究を遂げらるるやは又、括目に値ひすべし。(口絵参照) |