高齢者のうつ病は、もの忘れなど痴呆や老化とよく似た症状が出るため、痴呆と見分けが付きにくく、病気の発見が遅れると症状を悪化させてしまうことになりかねません。
うつ病の人には一見、怠けと受け取られるような無気力感がありますが、頑張りたくても頑張れないのがうつ病です。また、高齢者のうつ病の特徴として、痴呆に似た「もの忘れ」があります。最近の記憶をなくしてしまい、同じことを何回も確認します。そして忘れっぽくなったことを嘆きます。しかし、ほとんどの場合、治療によって記憶は取り戻せます。
一方、痴呆の場合は、5分前の行動などを忘れてしまっても、本人はあまり苦痛を覚えません。また、痴呆とよく似た症状の仮性痴呆や痴呆が原因の憂鬱な気分など、うつ病と痴呆とは、とても複雑な関係にあります。 一般的なうつ病の症状としては、ひとりでいるのがとても怖い、ふさぎ込む、何もする気がおこらないなどの心の不調と、睡眠障害、疲労感、食欲不振、体重減少などの身体の不調がよく表れます。身体の不調を訴えるので、本人も家族も身体の病気だと思い、内科などを転々とします。しかし、うつ病が原因のため、検査では異常が見つかりません。「気のせい」「怠け」と決めつけず精神科等の専門医療機関を受診しましょう。
うつ病は、早く発見して早めに治療することと本人が安心して、ゆったりと過ごせるように家族や周りの方が配慮することで良くなっていく病気です。 |
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